代表からのひとこと

代表取締役 太田渉
昔の話になるが「広告批評」の創刊者、コラムニストの天野祐吉氏が2013年10月にお亡くなりになった。
最近やたらと氏の事を思い出さずにはいられなくなった。 「CMは楽しくなきゃ」が決まり文句だった氏は、広告文化に時代を映し、消費社会に鋭く切り込む批評を展開していた。しかし、その口調は決して偉ぶらない。
むしろ広告に対する愛情や独特のユーモアが、一般人にもクリエイターにも温かく響いていた。氏は何よりも広告表現者の「クリエイティブ」を大事にしていたことを思うと、僕たちにとっては広告の伝道師的存在だったに違いない。
寂しいことだが、氏が亡くなると同時に「クリエイティブ」なるものも死んだのではないか、と思うことがある。
例えば、最近のTVCM。やたら説明的で稚拙だったり、薄っぺらい情緒の押し売りだったり。そこに「演出」があったとしても、プランナーやディレクターたちが頭に汗をかいて仕事をしているのだろうかと疑問に思うCMが多くなった。タレントCMに至っては、ギャラが高いタレントほど、白ホリの前で理屈を語る。シンプルさを強調したいのだろうが、制作予算が無かったのかよ、と穿った見方をしたくなる。かつては商品とタレントが一体になって笑わせてくれたり、感動させてくれたものだ。ひと言で言うと、楽しくなくなった。
こういうことを思うと、もうテレビ広告の時代は終わったと痛感してしまう。 天野氏曰く「広告は詐術だ」とすれば、いい意味での詐術師がクリエイティブを発揮しているCMはほんとうに少ない。ローカルCMに至っては、簡易CGで文字を動かしながらのお知らせCMレベル。(全てがそうだとはいわないが…)
以前の「ACC CMフェスティバル」の地域CMの審査委員をしていて、心に引っかかる作品が極端に少なかったのも納得できた。僕自身、CM制作を生業としている人間だが、CMプレゼンの際、何方向かのコンテ案中、1案ぐらいは既成の枠から、わずかにはみ出た案を出すことにしている。なぜならCMは目立たなければ意味をなさないと常日頃から思うからだ。
しかし、たいていは選ばれることは少ない。
そこで気付かされるのは企業側がクリエイティブをあまり必要としていない事。
受け手としても、ネット等、多様な媒体に流れて、商品のスペックや評価、何円安いといった情報が 必要とあらば即座に手に入るので、安直なイメージやクリエイティブに左右されない(クリエイターの怠慢である)。 だから企業は「商品は企業文化」という考え方を捨て去り、コンプライアンスのみ励行し、 クリエイティブな冒険はリスクと考えるようになったのか。 CM画面によく「※これはイメージです」という類のエクスキューズが多く表示されるのもその表れだろう。
クリエイティブは死んだのか…否。映像表現ができる媒体がある限り、 僕たちは、それを放棄してはならないと思う。
「必要なのはぼくらに見えているはずなのに、ぼくらが見えていない大切な何かに“はっ”と気付かせてくれるような 面白いアイデアであり、表現である。」
天野氏のこの言葉はクリエイターがクリエイターであるべき指針をはっきり示してくれている。
いまだからこそ改めて心に留めてとりあえず前に進むしかない。

太田渉:仕事の歴史

1988

(株)ライト・エージェンシーから制作部独立

(株)バウハウス設立

●制作実績(主なクライアント)

NTT東日本、NTTドコモ東北、東北電力、ストロベリー・コーンズ、XEBIO、JA福島、東邦銀行、カメイ、スパリゾートハワイアンズ、ほまれ酒造、マクサム、アルファクラブ、福島県、公共広告機構、イオン、デンコードー、日本全薬工業、フジ・コーポレーション

2004

5月(有)ALOHA STUDIO設立


●制作実績(主なクライアント)

NTT東日本、アルファクラブグループ、東北電力、ほまれ酒造、ダルマ薬局、公共広告機構(ACジャパン)、デンコードー、仙台銀行、丸峰観光、ダイエー、マルタマ

主な取引代理店 ・アサツーDK
・ライトエージェンシー
・電通東日本
・朝日広告社 郡山支局
・NTTアド
 
現在に至る
   

GETTING HEAT<1992年>

昔、「エビ反り巨匠天国」(TBS)という番組でオンエアされたショートムービーです。
休日にロケ地の住宅造成地に集まって、一日で撮影しました。スコッチ2本で出演してくれた人は当時、郡山に住んでいた英語教師のイギリス人とドイツ系フランス人です。
いま見ると演出的に、こうすれば良かったという反省点がいっぱいです。

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